2015年10月12日月曜日

ライトのパウロ研究をめぐる論集

N.T.ライトの「キリスト教起源と『神』問題」シリーズは、現在、
Paul and the Faithfulness of God(以下PFG)
で予定6巻中の第4巻を刊行した。

そのつど論集が組まれプロもコンも含めた学者たちが、ライトの野心的な新約聖書神学研究を分析評価している。

このブログでもPFGへの書評はそのつど目に付いたものは紹介してきた。

1. ダグ・ムー (ホィートン大)
2. ベン・ウィザリントン (アズベリー神学校)
3. ラリー・フルタドフルタド2フルタド3 (エディバラ大)
4. アレクサンドラ・ブラウン (ワシントン・リー大)

ここでやめてしまったが、実はPFGに対する最も厳しい書評がセントアンドリュース大の同僚ダーラム大のジョン・バークレーから出された。 (ついでといっては悪いが、クリス・ティリングの書評も好評。)
5. ジョン・バークレー
6. クリス・ティリングティリング2

さてここまでは前段。

ライトのPFGに対する本格的な論文集が、マイク・バードら若手の学者たちによって企画されている。論文を寄せるのは英語圏のみならず、ドイツ語圏の学者たちも含まれる、より国際的な視野によるものだ。

(※中に一本韓国の学者によるものも含む。)

God and the Faithfulness of Paul

※PFGではなく、GFPですから、お間違いなく。
紹介文に
N. T. Wright’s Paul and the Faithfulness of God is the culmination of his long, influential, and often controversial career – a landmark study of the history and thought of the Apostle Paul, which attempts to make fresh suggestions in a variety of sub-fields of New Testament studies
とあるが、「引き締まった議論」という点で1700ページのPFGは大分批判を受けているが、多様な背景を一箇所に集めて「厚い描写(thick description)」を施すという人類学的手法に近い観点から言うと、新約聖書学の諸分野への波及が評価される点になるのかもしれない。

マイク・バードとともに編者のひとりとなっている、クリストフ・ハイリッヒはセント・アンドリュース大でも少し学んでいるが、今回の論集にドイツ語圏の学者たちも引き入れいれる役割を果たしているのかもしれない。

とにかく、このようなかたちで取り上げられるライトはいろいろな批判があっても、それだけ学問の分野の幅を広げたり、新しい視点を提供したり、貢献しているのだろう。

それがライトの影響力ということではないだろうか。

4 件のコメント:

  1. いつもWrightに関する興味深い情報をありがとうございます。小さなことになるのですが、ジョン・バークレーはDurham大学の教授であるように思います。(https://www.dur.ac.uk/theology.religion/staff/profile/?id=2008) 他ブログを含めて、色々と考えるきっかけを頂き、感謝です。

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  2. 怪物くん、コメントありがとうございます。
    書き終えて一瞬「違っているな」と思ったのですが、再確認せずアップしてしまいました。失礼しました。修正しておきました。
    ところで、このブログにコメントがくるのは殆どないことなので、少し感動する覚えてしまいます。笑
    それではまたどうぞ。

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  3. 細かいところをすみません。本blogもそうですし、「大和郷にある教会」、また「N. T. ライト読書会」、すべてのページを通して、色々と教えられてきており、本当に感謝しております。 現在、北米の大学院で修士課程にいるのですが、キリスト教倫理のコースでJacques Ellulを読み、「大和郷にある教会」で触れておられたことを思い出し、なんだか励まされました。色々とお忙しいと思いますが、考えられたことの一端をこれからもぜひ教えてください。

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  4. 怪物くん、再度のコメント感謝。
    最近(といってもここ10~20年程度)の北米神学校・神学部における日本からの留学生事情はよく知りませんので、どんな苦労をしているのかブログでの報告期待しています。

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