2013年5月4日土曜日

クーリエ・ジャポンが注目したN.T.ライト(追記)

 前回の投稿では、クーリエ・ジャポンの「キリスト教の『天国』は〝死後の場所〞ではなくなった」 と言う記事を紹介し、この記事がTIME誌の特集Rethinking Heavenで、ジョン・ミーチャムが書いた記事の翻訳(要約)である・・・と書いた。

 しかし、改めて二つの記事を比較して見るとクーリエ・ジャポンの記事はかなり省略・編集されたものであることが判明した。

例えばTIME誌記事の以下の二つのパラグラフ引用を見ていただこう。(下線は筆者)
Yet we don't necessarily agree on what heaven is. There is, of course, the familiar image recounted by Colton Burpo. But there is also the competing view of scholars such as N.T. Wright, the former Anglican bishop of Durham, England, and a leading authority on the New Testament. What if Christianity is not about enduring this sinful, fallen world in search of a reward of eternal rest? What if the authors of the New Testament were actually talking about a bodily resurrection in which God brings together the heavens and the earth in a wholly new, wholly redeemed creation? 

Jesus was to return, probably imminently, to set the world to rights. "When 1st century Jews spoke about eternal life, they weren't thinking of going to heaven in the way we normally imagine it," explains Wright, the New Testament expert, who is now at the University of St. Andrews. "Eternal life meant the age to come, the time when God would bring heaven and earth together, the time when God's kingdom would come and his will would be done on earth as in heaven."
 そして該当するクーリエ・ジャポン記事からの引用
 このように現代では、バーポのような幼い者からグラハムのような年長者にいたるまで、天国は現世と隔絶した、平和と希望と愛が得られる世界だと考えられている。
 だが、そんな天国観を真っ向から否定する勢力がある。
 その代表とも言える人物が、英国の元ダラム大主教で、新約聖書研究の第一人者でもあるN・T・ライトだ。
「紀元1世紀のユダヤ人が永遠の命について語っていたとき、現代の人々が考えるような天国を思い浮かべることはありませんでした」
 現在はセント・アンドリューズ大学に勤めるライトは、そのように語る。
「永遠の命とはやがて来る時代のことです。神が天と地を一つにするときのこと、神の国が現れて、その御心が天と同じく地上においてもなされるときのことを指していたのです」
この「バーポ」で始まる1つ目のパラグラフから、ほぼ逐語的に訳出された2つ目のパラグラフの間に、ミーチャムはかなりの分量を用いて天国観の変遷史や、天国観が「この世」の生活にもたらす影響などを、自身のキリスト者としての述懐を交えながら語っている。
 さらに、一世紀ユダヤ教からキリスト教が胚胎した思想的過程についてもかなり専門的研究をよく読みこんだとみられる詳しい解説を施している。

 日本の読者の宗教・キリスト教に関するリタラシーに配慮したものかもしれないが、「からだのよみがえり」「新創造」「被造物全体の贖い」など重用ポイントが省かれていることは大変気になるところだ。

 敢えて言えば、これは「翻訳権を取得」して書かれた記事とは言え、内容的にはほぼ「天国観」にだけ焦点を当てて大々的に編集された「つまみ食い翻訳」といわざるを得ないのではないか・・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿