N.T.ライトにとって『メシア』が重要な新約聖書神学、特にパウロ思想における概念であることは、ライトの博士論文や、彼の最初の学術論文集である、The Climax of the Covenant に明らかだ。
新約学者の大勢は『メシア』には特別な意味はなく、パウロにおいては単にイエスにつけられた固有名詞だ、とされてきた。
つまりタイトルではない、と言うこと。
Matthew Novensonのプリンストン神学校での博士論文である、
Christ Among the Messiahs: Christ Language in Paul and Messiah Language in Ancient Judaism
(Oxford University Press, 2012)
はそのような一方的な議論に終止符を打つものである、とニジェイ・グプタ教授は書評でコメントしている。
このような研究成果が、ある意味パウロ研究その他での一定の《議論規制》として働くだろうことは、グプタ教授が指摘する通りだと思う。
関心のある方は一読をお勧めする。
(※ノヴェンソンの本自体は74ドルもするから手を出すことはないと思うが、このような「紹介」と「書評」だけでも最新研究の一端に触れられることは、ネット社会の受益者であることを改めて思わせられる。)
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