先日ライトの「キリスト教起源と『神』問題」シリーズ第4巻
パウロと「神の誠実(あるいは忠実)」
についてお知らせした。
11月出版に向けて頭にねじり鉢巻をして執筆しているライト教授をイメージするのだが、この大著の他にまだ少なくとも1冊別の本が発刊されようとしている。
驚くべきスタミナと言うか、意欲と言うか、恐れ入る。
その本のタイトルは、
Creation, Power and Truth: The Gospel in a World of Cultural Confusion
その「イントロダクション」部分(1-11ページ)が出版元サイトで読める。
現在の西洋における文化的混乱状況を三つの要素(①グノーシス主義、②帝国主義、③ポストモダニズム)に絞って分析し、その混乱の中でキリスト者が、教会が、果たすべき(福音を提示するという)役割を、「世界観対立」を通して実践している本のようだ。
この文化的混乱状況を収めるのに、『正統的神学の枠組み』と言う上からのアプローチではなく、聖書テキストの釈義を通して、と言う下からのアプローチを実践しているようだ。
従来と変わらぬライトの神学的アプローチと言えるだろう。
たった11ページのイントロからだが、ライトがこの本を通して取り組もうとしている仕事は何か、ほぼイメージできるのではないかと思う。
「キリスト教起源と『神』問題」シリーズに見るライトの「新約聖書神学アプローチ」は、「一世紀」と言う歴史的文脈を、「世界観」的に再構成して問題を整理統合すると言う性格のものだ、と小嶋は勝手に理解している。
そのライトの手法は(ライトは自分では意識していないかもしれないが)多分に文化人類学の中でも、クリフォード・ギアーツに代表される「世界観」文化解釈(ワールドヴュー・カルチュラル・ハーメニューティクス)と「分厚い描写(thick description)」の手法に結構重なるように思う。
(1,687円と言う値段から想像するに)この小さな本でも、ライトはそのような手法で「西洋における今日の文化的混乱状況」を分析しようとしているのだろうか。
ライトの現代についてのカルチュラル・ハーメニューティクスはどの程度のものか、現代の社会学者や哲学者との対話がどの程度あるのか、あったとしてその背景読書は脚注や文献目録に披露されるのかどうか、・・・興味多々である。
0 件のコメント:
コメントを投稿