この本は新約聖書学者としてのライトの主要著作である「キリスト教起源」シリーズのNTPGではそれほどクローズアップされていませんでしたが、ライトの業績が啓蒙主義(モダニズム)とポストモダニズムの思想的問題を意識して進められていることを示すものだと思います。
即ち1970年代の聖書の無誤論論争がモダニズムの土俵でなされていた時点から、その解決・総括を十分見ないままここまで来てしまっていることに対する問題提起であり、キリスト者の実践に深く関わってくる「聖書をどのように読むか」と言う問題の前提となる、「聖書の権威」をどのように再構成(リフレーム)するのかと言う問いに答えるものと位置づけることが出来ると思います。
「大和郷の教会」ブログでは、最近のこの周辺の論争について幾つか紹介して来ましたが(これとか、これとか、これとか、これ )概して論者たちは問題を指摘する方に一生懸命で、ライトのこの本のようにこのimpasseから抜け出せるような建設的戦略を示すには至っていないように感じます。(スミスは社会学者で神学者と言うわけではないので無理からないですが)
幸いにライトのこの本を正面から取り上げてパネル・ディスカッションしているサイト(動画)を見つけましたのでご紹介します。
Vineyard系のキリスト者たちの研究機関のようなものである(まだ良くリサーチしていないので「らしい」と言うことにしておきますが)、The Society of Vineyard Scholarsという組織です。
パネル・ディスカッション動画はここの主催です。
最初のパネリストと言うか、モダレーターのイントロとオーバーヴューは結構いい線行っています。
2番目のCherith Fee Nordlingはゴードン・フィーの娘で確かセント・アンドリュースで博士号を取得しました。
小嶋が現在注目している若手です。そのうちメインステージに登場するかもしれません。
既にMissio Allianceの主事の一人であり、ライトの神学を咀嚼するだけでなくさらに展開しようとしているかなり意欲的な神学者です。(ここのPlenary#2を参照)
この動画でもやはり圧巻は彼女だと思います。自分の考えをアッティキュレートしようと熱っぽく語っています。
3人目はちょっとこじんまりかな、4人目はちょっと「ごにょごにょ」が散見され、熱が下がりますが・・・。
個人的な感想としてはこの組織の動きはなかなか面白いと思います。
何しろ世代が若い、単なるアカデミックなアプローチではない点が興味深いです。
(スカラーに名前を連ねる方々のレベルにかなりバラつきがある感じですが・・・。)
ではどうぞご覧ください。
Plenary #2: Being Human, Becoming Christian: An Embodied Reconciliation Of Heaven And Earth
Presenters: Alan Hirsch, Cherith Fee Nordling, Deb Hirsch, Tory Baucum- See more at: http://www.missioalliance.org/resources/plenary-sessions-bundle/#sthash.sQGEqHJe.dpuf
Plenary #2: Being Human, Becoming Christian: An Embodied Reconciliation Of Heaven And Earth
Presenters: Alan Hirsch, Cherith Fee Nordling, Deb Hirsch, Tory Baucum- See more at: http://www.missioalliance.org/resources/plenary-sessions-bundle/#sthash.sQGEqHJe.dpuf
0 件のコメント:
コメントを投稿